大きな政府 ちいさな政府 8

サッチャーの改革 2
 サッチャーが次に行ったことは、赤字垂れ流しの国営企業を市場競争にさらし、民営化に向けて生産性を引き上げようとのことであった。逆に、非効率な炭鉱や工場などは閉鎖されるに至っていった。
 これらの改革により英国の生産性の向上は著しく、技術進歩率も大きく向上した。
 次に挙げられるのが、金融ビッグバンと行政ビッグバンである。これらによって、ロンドンを金融国際都市として再生させることが出来、また官民間の競争が高まり公的部分での生産性が高まり公務員は2〜3割減少した。さらに、サッチャー改革は税制改革にも及んでいった。
 しかし、これらによって経済格差が拡大したことも事実である。ユッピーと呼ばれるニュー・リッチ層が生み出された一方で、高い失業率と社会保障制度改革などによって所得格差は急速に拡大したのである。
 このように、サッチャー政権では、労使関係の改善・民営化・金融ビッグバン・行政ビッグバン等により小さな政府を目指したのであるが、事実としては前政権、労働党時代より僅かに大きくなってしまったのであった。