大きな政府 小さな政府 12

格差の拡大


 小泉改革の中で問題とされてきているところは、格差の拡大問題である。
 小さな政府がもたらす格差は、個人や世帯間の格差と、
田中角栄が無くそうとして大きな政府を作り出してしまった
原因となった地域間格差とがある。


が、果たして小泉の改革によって個人や世帯間の格差が齎されたのであろうか。
現在そのことについてまとめられたデータを分析しているものをみると、
確かに、80年代以降、日本における所得格差は拡大している。

 が、その主な原因は人口の高齢化にあるといい、
世帯主の年齢別でみてみると、所得の格差は拡大していないという。


 しかし、これらの調査は実態に合ってはいない。
 何故なら、これらの調査をみてみると、そのどれもが正社員の所得を
分析しているのである。
 すなわち、極端に増加した所謂「派遣」やパートが
その調査対象となっていないのである。

 ましてや、失業者やホームレスを除外しているのは
全く実態に即していないといえるであろう。


 つまり、明らかに、97年〜02年にかけて格差は拡大しているのである。
これは、90年代以降、規制緩和により派遣社員の職種が増大したこと、

 また不景気により失業率が増加したことに起因している。
 あるいは、派遣社員やアルバイトなど非正規職員と正規職員との賃金格差、
これらが格差を拡大させている要因である。


 その背景には、なかなか景気の先行きが掴めなかったことがあり、
企業にしても解雇のむずかしい正規社員の雇用をためらったことがある。

 そのことが、企業が、パートや派遣を増やし続けてきた原因となって、
格差拡大を助長してきたのである。