日本美術史

本日は、初めて伊勢の某大で「日本美術史」という括りでの講義を行った。

岐阜の某大の講師を今年度から義理のあり方が定年退職するのを期に
お断りした直後に、も〜と義理のある先生から「日本美術史」の
講義をするようにといいうお達し!
断りきれずにお引き受けした。

20年も前には、自分がこのようなテーマでの講義を行うことが
あるとは思っても見なかった!

平成9年、重源の展覧会を行った際、当時京都大学教授であった
上横手雅敬先生が、君は大学院生時代美術なんか全く解さない人だったが、
たいしたものだ!と、本当に感心したように褒めていただいたことがある。

自分自身では感じていなかった変化を師に指摘されて、
えっ!と思ったものである。

それから10年...人生とは分からぬものである。

考えてみれば、私は専門書はともかくとして、一般向けの書は歴史書ではなく、
美術関係の本にしか関っていない自分を発見したのである。

学生は、興味深く食いついてくるもの(目を見れば分かる・・・)、そうでないもの...昔も今も変わらない。

しかし、今私が彼らに教えようとしていることは、
上横手先生に言っていただくまでもなく、この大学に一番欠けた部分である。

この大学に私が恩返しができるとすれば、その新生面を注入することであろう。
力量不足はあるかもしれないが、何とか頑張ろうと思っている。

私が昔入った東京のK大の志水先生は歴史学者でありながら、
その門下からは東博の職員をはじめとして、多くの美術関係者を輩出している。
美術眼に関しては、どうしてもその人間の持つ
もともとの資質に関る部分が大きいと言わざるを得ないが、
少なくとも、その眠れる資質を呼び起こす手助けが出来れば...と考える。