大きな政府 小さな政府 10

仏龕 拡大

   今回の目玉 2

 スラリと伸びた両脇時の体躯は、
東洋的なものではなく、
西の民族の体型を髣髴とさせる。

 失われた左手には、
その上に細〜く伸びた蓮の花を握っていたものとみられる。
 右手には、水瓶を持ち、頭上には大きな化仏を戴く。

 ともかくも、細かく繊細な造形である。


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   第三の道 ブレア政権の登場

 18年ぶりに政権を取り戻した労働党のブレア政権の目指したものは、
戦後の社会民主主義福祉国家、そしてサッチャーの小さな政府についで、
第三の道と呼ばれ、効率と社会正義を両立させようとするものである。

 彼にとって、社会正義とは、結果の平等ではなく、機会の平等を意味する。
この意味からするとネオリベラリズムと同義となる。

 彼は、資格要件を満たさないものを社会福祉サービスや
社会保険給付の対象から排除した。

労働党は、このような選別主義に異を唱えてきたが、
人々の勤労意欲を削ぐ、貧困のワナや失業のワナを事実上認めた上で、
方向転換をしたといえよう。

その結果として、失業者に対するカウンセリングや職業訓練
職業経験の提供、民間企業に対する職業補助金の支給などの
積極的労働市場政策を展開した。


 さらに重要なのは、教育の重視にある。
上記のような政策は短期的な政策に過ぎないが、長期的に英国の
国力を向上させるためには教育が重要と考えたのである。
これまで、英国はこの雇用される能力を有しない人々の存在が
最も深刻な国の一つであり、その克服が最重要の課題とされた。

 サッチャー時代にも、英国病の原因を、強すぎる労組と質の低い
人的資本と考えられてきた。
しかし、サッチャー政権はその問題を解決するまでには及ばなかった。
 
ブレアは、教育を重視し、予算の増大と教育内容と管理のため
政府の関与を強めることとした。

その結果をどうみるかは、まだまだ時間のかかるところではあろうが、
考え方としては至極当然として是認できるところであろう。


 ともかくも、深刻な病に悩まされてきていた英国は、
サッチャー政権後期から絶対的貧困が減少し、
改革は政党を超えて継承され、断行されてきているといえるであろう。