年頭に想うこと

最近、時間が本当に無くて、書きたいこともたくさんありながら、全然更新出来ずにきました。
さすがに、年頭ぐらいは時間が出来ましたので、少し書いてみます。
ご意見などよろしくお願い致します。


昨秋以来のことを少し考えてみた。
従来、わが国の企業は、客を大切にして(モノを安く売り・アフターサービスをするなど)、社員を家族として保全し(給料を高くし、社員の福祉・厚生など)という姿勢であった。
100年に一度などと称される経済危機...本当か?
不況に突入しているのは確かであろうが、実情は、企業の内部保留は史上最高を記録し、役員報酬は2倍!その様な中での派遣切りや車内配分の低下が進んでいる。
昔、高校の頃、社会の教師から、アメリカから観たら日本は社会主義国でその意味から警戒もされている、との発言を聞いた。彼の師は、NHKなどでも世界史を講じる著名教師で中学時代は私も大好きな師であったが、高校になってからはその史的認識・信条の違いから私は世界史を途中から放棄するに至ったのであった。
しかし、彼の師の言葉は、今思い返しても当時のわが国の立場を良く表していたと思うのである。当時のわが国は、言ってみれば社会民主主義国家であり、古き日本の国家の形態を保持しながら新たな経済体制に移行して行ったのではないだろうか。今にして思うと、その新旧の折衷案的な社会が戦後の日本を牽引してきたのであろう。
では、何時から現在のような形になってしまったのであろうか。
それは、明らかにアメリカの圧力により規制緩和によって、特に金融と雇用の規制緩和に由来するのである。
金融の規制緩和によって、企業はヒト(客や社員)を第一とはみずに、株主を第一とするようにならざるを得なくなってきたのである。企業は、株主のために利益を生み出さなければ企業としての責任をとらなければならない...そのような企業の根幹的な体質の変化が起こってきていることに早くから警鐘を鳴らしていた人物もいたが、多くの人々はそのことがわが身にまで及ぶとは感じてはいなかったのではないだろうか。そんな新たな社会の到来を受けて早くに動きを見せたのがホリエモンに代表される人々であったし、株は日興や野村よりもゴールドマンなどが幅をきかせるようになって、企業買収が枚挙にいとまがなくなってきたのである。
一方、雇用の規制緩和は、1999年の大幅な派遣法の改定、さらに決定的であったのは2004年の一般製造業にまで及ぶ規制緩和である。これが、今の大量の派遣切りにつながっている。しかしながら、未だ派遣法の規制緩和以前ほどの失業率には至っていないという。ということは、彼の規制緩和が好調時の経済に有効に作用したことも確かであろう。
では、何が問題なのであろうか。企業は何故派遣切りをするのか。それは、未だに日本企業には社員=正社員に対して家族的な古い感覚を持ち続けているのではないだろうか。であるから、派遣や非正規を切る事によって家族を護ろうと意識が働く...。
言い換えれば、産業資本主義(モノづくり日本を支えてきた=ヒトを大切にする)から金融資本主義(株主第一主義=株式極大化から企業買収を避ける)への転換が全ての根源であろう。そのような社会的変化を来たしている中にあって、若者はフリーターを是とするような風潮が重なっていたこともたしかである。
失業率も11月で3.8%というが、これからも拡大しかつて最大の失業率5〜6%にも及ぶであろうが、当時の企業には内部留保がゼロに近かったことを考えれば社会全体としては大分ましなはずである。そのことを考えれば、今回の経済危機は、金融の再編も進んでいるわが国に対する影響は欧米に比しては少ないはずである。今問題となっているのは、現状に対する過剰反応であり、企業の家族以外に対する反応である。この解決方法としては、企業の社会的責任のあり方を法的に規制し直す必要があるのではないだろうか。すなわち派遣法の見直し、派遣切りの際の安全弁ともいうべき方式の創設、少なくとも欧米のようなレイオフしても好転したら、優先的に再雇用するような規定位は必要なのではないだろうか。