〔この国の領土〕5

 −沖ノ鳥島
 わが国の領土の中でも、排他的経済水域の領域の広さからしても、最も重要な島のひとつが沖ノ鳥島であろう。
 沖ノ鳥島は、高潮時には僅か16cmしか海面上に頭を出さない北小島と、6cmしか出さない東小島(通常は90cm程度とされている)とからなり、ハワイのホノルルよりも南に位置する東京都である。
 沖ノ鳥島サンゴ礁で出来た脆弱な存在であるため、その存在を保持するために度重なる土木工事が施され、現在東小島は高価なチタンネットがかぶされ保護されている。管理者は、東京都から国へと遷されている。
 国際海洋法条約で、島を「自然に形成された陸地で、水に囲まれ、高潮時にも水面上にあるもの」と規定しているから「島」であることは誤り無く、中国の沖ノ鳥島が岩であるとの主張などは当たらない。しかしながら、今のまま温暖化が進み、海水面が上昇すれば、いかに保護して浸食や台風による破壊を防いでも、高潮時の6cmの東小島は風前の灯というほかないであろう。
 このような状況からして、素人なり考えても、もっと恒久的な施設を建築して、他国からは口を差し挟めないような状況をつくり出すという中国や韓国的なやり方を真似てもよいのではないだろうか。
 沖ノ鳥島の周辺は、海上航行上重要な位置を占めているという。しかしながら、目印が無いため大きく迂回して通るという。ここに、灯台などの航路標識を整備し、定期的にメンテのための人員が往来すること。さらには交代要員をもって常駐する道を模索していったら良いのではないであろうか。
 また、気象観測や、そのエネルギー供給源としての海波発電や温度差発電の研究にも益するところであろう。いずれにしても、要らぬイチャモンを入れさせないためには、人の生活があり、経済活動の存在があることがベストであろう。

 それにしても、沖ノ鳥島「岩」だと言い放った中国が、パラセル諸島西沙諸島)やスプラトリー諸島南沙諸島)において、
ベトナムやフィリピンに加えて、台湾やマレーシア及びブルネイとも領土問題を起こしている事実はつとに知られているところであろう。
 まことに、相手変われど主変わらずというか、中国のいくところ紛争の火種ありである。
 しかも、彼らはそこで、それこそ干潮時にわずかしか海面に顔を出さない“岩”の上にコンクリートを流しこんだり、鉄パイプを立てたりして人工島を作ったのである。