江戸のあれこれ 11

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おきゃん

 「おきゃん」これもよく聞く言葉であった!? 
でも、最近は随分死語に近くなっているであろうか?
若い女性のおてんばで、はすっぱな(これも死語?)さまを指すことばである。すなわち、元気がよくて、おてんばな若い娘、義理や意地を縦に突っ張りあうような達引(たてひき)女を「おきゃん」というのである。本来は「きゃん(侠)」なのであるが、女性に「お」をつけるのは常であって「お花」「お梅」といった類である。
 宝暦頃(1751〜63)から、深川の遊里で「おきゃん」の気風が流行りだし、育まれ、江戸の一つの気風となっていった。
 「いき」「きゃん」「あだ」などは、それぞれ連関した観念であって、バラバラなものではなかった。
 先に述べた「いき」とは、気質や容姿に関して、総合的な美意識をいうが、「きゃん」とはその気質の部分をなすものであり、「あだ」とは容姿の部分を取り出したものである。
 似て、非なる言葉に「おちゃっぴい」がある。「おきゃん」よりも少し否定的な言葉であるが、おてんばとも少し違うように思う。跳ねっ返りで、世間知らずで、小生意気な口を利くようなそんな女性をいうのであろう。この「おちゃっぴい」との語などは、全くの死語かと思っていたが、宇江佐真理が同名の作品を発表。復権を果たして来ているのであろうか。