小梅の古萬古

 前にも書いた萬古調査の中で面白いものが出てきた。
それは、林コレクションの中の古萬古の一つの箱書きにあった。
 もっとも見られてきたし、当館でももっとも利用されてきている
コレクションであるだけに意外ではある。


  墨水   小梅


  好和者、為予実父、
  末男                                            丹波元厚好教                                              書之
  嘉永六六月五日                                         改


というものである。
 このうち「末男」と「嘉永六六月五日 改」の文字は
別筆である。

 この箱書きをどのように解釈するのであろうか。
別筆を除いてみていこう。
 「墨水」は隅田川の意である。
 「小梅」は古萬古の江戸店の窯のあったところ...。
 そのあとは、好和という人物は自分の実父である。
 丹波元厚好教が之を書いた、というものであり、
別筆は、嘉永六年(1853)になって、
恐らく子孫がこれを確認して、好教が好和の末男であることを書き加え、
年季と調べたことを「改」と記したのであろう。
 では、この箱書きに、この小梅の古萬古に好和という人物のことが
書かれたのであろうか?
 恐らくは、この好和という人物、この小梅の古萬古の作者、
すなわちその職人であったことを示しているのではないだろうか。
 丹羽好和という人物は、これまで知られていなかった職人ではないだろうか。
 丹羽という名前は、桑名はじめ北勢地方に多い名である。
 地元から連れて行った職人なのではないだろうか?

 どなたか、何かご存知の方があれば,
是非ともご教示戴きたいものである。