大きな政府 小さな政府 3

   英国病

 大きな政府における最大の原因といえば福祉であろう。
われわれが、学校で学んでいた頃、英国といえば典型的な福祉国家であり、
お決まりの「ゆりかごから墓場まで」との言葉で説明されていたのを思い出す。

 今やそんな国の姿は見る影も無い。

 60年代、英国では失業率は2%以下。完全雇用は、ほぼ達成されていた。しかも、物価は安定し、インフレ率は3%代。経済成長率は、日本などには及びもつかなかったが、それでも2〜3%を確保していた。経済がこのような状況であったから国民も福祉国家維持のコストを負担することが出来た。

 しかし、70年代になると成長率は60年代の半分に落ち込み、失業率は逆に4%台へ、インフレ率にいたっては16%台へと上昇した。要因は低い生産性にあり、英国は高失業・高インフレ・低成長というスタグフレーションの典型に陥った。

 ここで、ケインズ経済政策がとられ、景気対策のため政府支出を拡大し、金融緩和が図られた。