伊藤利彦展

伊藤利彦最期の大作

明日から、伊藤利彦展が開催される!http://www.city.yokkaichi.mie.jp/museum/tenrankai/070915.html

私は、以前から彼の小品が欲しいと思っていたが、
まぁ〜言ってみれば、車をはじめとして
種々金がかかることもあるので購入出来ずにいた。

しかし、今回、また、沸々と手にしたいという願望が再燃してきた。


そんなことはともかくとして、今回の伊藤利彦展は凄い!
三重県美やパラミタで開催していたのは何だったのだろうか?

要は思い入れの問題であろうと思うし、私も少なからず補佐はしたものの、
担当者は立派であったと思う。


私が、車展 http://www.city.yokkaichi.mie.jp/museum/tenji/
を開催していた時、車や飛行機などの“メカ”の大好きな氏は訪れてくれた!

ついでに言うと、同展の折に展示した太田隆の
「ペーパー・ミュージアム
http://www.paper-museum.com/

今や売れっ子であり、ず〜っとCG(カーグラフィック)の一面を飾っている。
であるから、写真や上記サイトで見ていて展示に採用しようと思い
交渉を進めていったが、実物を見に行ったとたんがっかりして、
その点数をほんの数点に減らしてしまったのである。
その要因は、明らかに私が伊藤作品を見なれていたからである。

太田作品に、伊藤作品の完成度を重ね合わせて、
勝手に作品の出来を頭の中に作り上げていたのであろう!


スタッフにその話をした時の空気には、
声に出さずにも、何なんだよ〜!というものを感じていた。

今回の会場を見ながら、その時のことを思い出していた。


さらに記憶は蘇る。同展に訪れてくれていた氏が、
無邪気に楽しんで戴いている姿!
挨拶をしながら、2年後に氏の展示をさせて欲しい旨を伝え、当時は現在の担当ではなく、その前任者が担当する旨を伝えたのであった。

それにしても、無邪気に日本GPの影像を楽しんでおられた氏のその姿に微笑を覚えたものであるが、その傍ら今回展観している最期の大作(上記写真)を、同年に制作されたものだと今回知らされた。

その完成度の高さには、本当に感銘を受ける!
あの時期に、見た目は生気が薄く、
上手に枯れた老人が、こんなものを制作していたのか!

私から見れば、細身で長身の伊藤氏、
言っては悪いが、髪はボサボサでフラ〜フラ〜と歩かれる様は、
見かけ上、年々殆ど妖怪の域に近付いてきているな!と感じていた。

その氏が、その当時、このような力に満ちた作品を制作していたとは!
驚きである。

遺作となったのは、チケットに入れた帽子の小品であるが、
これとても、存在感がある。

我々は、質の高いものを提供し、市民の文化力や感性を高めることに
その責務の大きな部分があるとは思うが、
今まで、市民や県民は伊藤利彦なる人物の何ほどをご存知であったろうか?

郷土の誇るべき偉人の業績を、今、本当に己が身に帯して、
市民の誇りとするとともに、生涯四日市を出ることのなかった
氏の魂を全国に発信したいと思う。
今回の内容は十分そのことに耐えうる作品群であると信じる!


因みに、明日、中日新聞で取り上げてもらえる予定であるし、
いつもは、終わり間際のNHK日曜美術館もアートシーンで、
23日の放映予定である。
本当であるならば、本編でも保てる内容かと思うがいかがであろうか?

出来れば、あとNHKの報道に働きかけていきたいと考える。


生涯、四日市市を離れることの無かった、
伊藤利彦の魂を全国に発信できれば!と
担当とずっと話をして来続けていた。


また、本来は、作家の生前に開催するつもりで準備を進めてきたが、
突然昨年他界されたため、追悼展となってしまった。

本人でも、自らの作品がこのように並ぶ光景は眼にしたことも無い訳であるから、あと少しでも生きていて欲しかった、との思いは口惜しく胸に留まるが、詮無いこと。

ご遺族に、お父様、お爺様の世界を強くご理解戴く事が、
出来ればせめてもかとの思いである。